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人は損と得を合理的に見分けられているのか?【プロスペクト理論】

心理学・行動経済学

こんにちは!まるです😁

今回は、行動経済学で一番有名といっても過言ではない「プロスペクト理論」について解説していきたいと思います。

まず、プロスペクト理論とはなんなのかについて解説していきます。


プロスペクト理論とは「損をしたくない!」ということ

「○○理論」といわれると、それだけでむずかしいものだと思いがちですが、一と理解してしまうと決してそうむずかしいものではありません。

「プロスペクト理論」を一言でまとめると、

「損したくない!!!!」

という人間が行動を選択する際の心理のことです。

宝くじやパチンコ、競馬などのギャンブルで、どれだけお金を賭けるか迷った経験はありませんか?

「自分の出したお金に見合ったものは返ってくるだろうか?」
「大きなお金を出して大失敗したらどうしよう…。」

そんな気持ちになったことがある人は、多いのではないでしょうか。

そんなときの心の動きに関係するのが、プロスペクト理論です。

「利益を得る」場面では確実に取れる利益を確実に得たいと感じ、「損失がある」場面では損失の全面回避を最優先にしてしまうのは、この心理が働くからこそだといえます。

「損をしたくない」というごくごく自然な気持ちが、無意識に行動や選択に影響を与える心理のことをプロスペクト理論とよんでいるのです。

では、具体的にどういうことなのかご紹介します。

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人は得よりも損を重く感じる?

儲けた時の嬉しさと損した時の悲しみは、同じ金額でも心理的インパクトが異なります。

プロスペクト理論では、この損得の感じ方は「価値関数」で表現され、それは、以下のようなグラフで表されます。

グラフの縦軸は損得に対する感情の動きを、横軸は損得の客観的な価値を表します。

これを見ると、利益を得た時よりも、同じ金額を失った時の方が大きく反応することがわかります。

額が同じなら、儲けた喜びより損したダメージの方が約2倍大きいとされています。なので、人は損失を回避しようとします。これを損失回避性と言います。

損得が大きくなると感覚が鈍くなる

1杯目のビールは、2杯目、3杯目より格段に美味しくありませんか?

同じようにギャンブルで負けても、最初の一万円の負けは、追加の一万円の負けより悲しく感じると思います。

このように、利得にせよ損失にせよ、グラフの参照点から離れるほど感覚が鈍ってきます。

価値関数の形状はこのような収穫逓減の減少も表しています。

得をするときはリスクを避ける#リスク回避的

人は得をするとわかっているときには、なるだけリスクを避けようとします。

例えば、

1.絶対に600万円貰える。
2.200万円か1,000万円どちらか50%で貰える

という選択肢があったとします。期待値はどちらも同じ600万円ですが、

こういった場合、ほとんどの人が「600万円をもらう」方を選びます。

人は目の前に利益があると、それを確実に得ようとする傾向があるのです。

このような心の動きを「リスク回避的」と呼びます。

負けているとリスクを取りやすくなる

得を前にしてリスクを回避した人でも、損失ではリスクを好む選択をすることが実証されています。

例えば、

カジノで、20万円負けている時、ここでやめれば20万円の損失が確定するので、赤か黒かのルーレットに20万円を投入して逆転を狙う。

当たれば±0、外れれば、-40万になるので、期待出来る最終収支は賭けをしない場合と変わらず−20万円ですが、多くの人が賭けに挑戦します。

このような心の動きは「リスク志向的」と呼ばれます。

人や状況によって価値の感じ方が変わってしまうのはなぜ?

なぜ人はこのように状況によって価値の感じ方が違ってくるのでしょうか?

それは、それぞれが価値の基準を持っているからです。

例えば、

・ボーナスを2万円くらいは貰えると思っている人
・ボーナスを8万円くらい貰えると思っている人

がいたとします。ですが、実際に支給されたのは5万円でした。ここでは、前者は思っていたより多いと喜び、後者は予想していたより少なかったため残念に思います。

伝統的な経済学では、人は超合理的なものと考えています。そのため、上記のようなボーナスが出る場合には全ての人が喜ぶと考えます。ボーナスがない状態と比べればメリットがあるからです。

しかし、実際はそうではありません。同じ額のお金でも、人によって価値の感じ方が異なるからです。上記のように少ない金額を予想していた人は喜び、多い金額を予想していた人はショックを感じます。この基準をプロスペクト理論では、「参照点」と呼びます。

状況によって参照点は変わる

参照点は、状況によって変化していきます。人は、物事の価値を相対的に判断する傾向があります。

例えば、普段あまり購入しないようなものについては相場を知らないため、自分の中に価格の基準がありません。そのようなケースでは、最初に見たものの価格が参照点に影響を与えます。

最初に比較的に高額なものを目にすると、その後に見る価格を安いと感じやすいのです。

このような対比によって印象が変わることを「コントラスト効果」といい。店舗などで戦略としてよく使われます。

まとめ

今回ご紹介したように、人は自分では合理的に判断できていると思っていても実はほとんどがそうでない場合が多いのです。

上記のような現象は、日常生活でもよく見られる光景です。

今回紹介した内容は、下記の書籍にて詳しく解説がされていますので、行動経済学に興味があるなぁという方は、ぜひ読んでみてください。

イラストも多く使われており、とても読みやすい本になっています。


 

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