高配当が魅力なSPYDとは

SPYDは、米国籍の高配当株ETF(上場投資信託)です。
米国高配当株ETFの中でも、主に以下のような特徴を持っています。
- S&P 500の高配当株を組み入れた高い配当(分配)利回りが魅力
- コロナショックでは減配する不安定感あり
- コロナショック時は大きく値下がりし、他のETFに比べて回復に時間を要した
- しかし’20年末頃から大幅に回復
- 80銘柄以上への分散で、VYMに比べると分散度は低い
特に高い配当(分配)利回りが魅力となるETFですが、コロナショックでは不安定な面も見せました。
しかし直近では大きく回復してきています。
SPYD 基本情報
SPYDの基本的な情報は下記です。
※ステート・ストリート社のH.P.より情報を引用
ティッカー(正式名称) | SPYD(SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF) |
運用会社 | STATE STREET |
ベンチマーク | S&P 500 高配当 |
構成銘柄数 | 約80銘柄 |
ファンド純資産 | 約37億ドル |
配当時期 | 年4回(3/6/9/12月) |
株価 | 41.86 ドル |
配当(分配金)利回り | 5.43 % |
経費率 | 0.07% |
設定日 | 2015年10月21日 |
上記の基本情報から以下のようなポイントがわかります。
- 80銘柄と十分な分散ですが、VYM(約400銘柄)に対しては少ない
- 非常に高い配当利回り
- 経費率が非常に安い
- 設定日は歴史が短い(コロナショックが初めての暴落)
SPYD 株価チャート
SPYDの直近の株価チャートです。

’20年のコロナショックで大きく値を下げ、’20年後半まで長く低迷しました。
その間に見切りをつけて損切りした方も多いのではないでしょうか。。
しかしその後’20/末頃から急激に回復し、直近ではコロナ前の最高値を更新しています。
SPYD 配当(分配金)額、推移
SPYDのこれまでの配当(分配金)額の数値及び推移です。
まず以下の表がこれまでの四半期毎の配当(分配金)額の詳細です。
年月 | 配当(分配)金[ドル] |
---|---|
2021/3 | 0.64 |
2020/12 | 0.61 |
2020/9 | 0.26 |
2020/6 | 0.37 |
2020/3 | 0.40 |
2019/12 | 0.50 |
2019/9 | 0.45 |
2019/6 | 0.46 |
2019/3 | 0.34 |
2018/12 | 0.44 |
2018/9 | 0.46 |
2018/6 | 0.38 |
2018/3 | 0.35 |
2017/12 | 0.71 |
2017/9 | 0.36 |
2017/6 | 0.34 |
2017/3 | 0.32 |
グラフで示すと以下のようになります。

- 下げるタイミングはあるが、株価ほどは下がらない
- しかしほとんど横ばいの傾向(’20/12、’21/3は大きく上昇)
SPYD 配当(分配)利回り
SPYDのこれまでの年間配当(分配)利回りの数値及び推移です。
まず以下の表がこれまでの年間配当(分配)利回りの詳細です。
※配当利回り = 年間配当(分配) ÷ 年末株価 で計算しています
年度 | 年末株価[ドル] | 年間配当 (分配)金[ドル] | 配当(分配) 利回り[%] |
---|---|---|---|
2017 | 37.44 | 1.73 | 4.6 |
2018 | 34.09 | 1.63 | 4.78 |
2019 | 39.44 | 1.75 | 4.44 |
2020 | 32.90 | 1.64 | 4.98 |
グラフで示すと以下のようになります。

- 年利約4.0%~5.0%の間で推移
SPYD 増配率
SPYDのこれまでの年間配当(分配)増配率の数値及び推移です。
まず以下の表がこれまでの年間配当(分配)増配率の詳細です。
年度 | 年間配当(分配)金[ドル] | 増配率[%] |
---|---|---|
2017 | 1.73 | ー |
2018 | 1.63 | – 5.8 |
2019 | 1.75 | 7.4 |
2020 | 1.64 | – 6.3 |
グラフで示すと以下のようになります。

- ’18、’20年に大きく減配
- 年度毎で変動が大きい(安定感が低い)
SPYDトータルリターン(VOOとの比較)
VOO(バンガード S&P500 ETF)との配当再投資込みのトータルリターンを比較しました。


- ~2018年まではSPYDがVOOを上回る
- しかしコロナショックでの下落率、ショック後の回復に大きな差がつく
コロナショックでの反応に差が出ました。
この結果だけを見ると、純粋に資産の増加を狙うなら、やはりS&P 500インデックスファンドへの投資が賢明との結果です。
しかし、純粋に資産の増加を目的とするならS&P500、配当所得を目的とするならSPYDというように、投資の目的により何を選ぶかは変わります。
さらに、SPYDは直近で大きく回復してきており、差は縮まっています。
SPYD 年リターン推移(VOOとの比較)

上記のトータルリターンと同様に、’20年に大きくVOOと差をつけられ、’21年は差を縮めてきています。
SPYD 構成銘柄(組み入れ上位10銘柄)
SPYDを構成する約80銘柄の内、上位10銘柄を示します。
銘柄(ティッカー) | 組み入れ割合 | 配当利回り |
---|---|---|
シーゲイト・テクノロジー(STX) | 1.57 % | 3.00 % |
ヘインズブランズ(HBI) | 1.48 % | 2.73 % |
リージェンシー・センターズ(REG) | 1.46 % | 3.69 % |
アイアン・マウンテン(IRM) | 1.46 % | 5.90 % |
リンカーン・ナショナル(LNC) | 1.44 % | 2.42 % |
フィフス・サード・バンコープ(FITB) | 1.44 % | 2.55 % |
オムニコムグループ(OMC) | 1.42 % | 3.30 % |
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE) | 1.42 % | 2.92 % |
インベスコ(IVZ) | 1.41 % | 2.40 % |
ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル(PBCT) | 1.41 % | 3.86 % |
上位10銘柄の純資産総額に占める割合 | 14.51 % | ー |
- S&P 500の配当上位約80銘柄に均等分散という投資アプローチをしているので、銘柄ごとの組み入れ割合はほぼ差なし
SPYDは毎年1月と7月に銘柄組み替えし、S&P 500の配当上位約80銘柄に均等分散しています。
’21/1の組換えで、株価が下がり配当利回りが上がった銘柄に投資されています。
SPYD セクター比率
SPYDを構成する約80銘柄の、セクター比率を示します。(2021.5.12時点)
セクター名称 | 組み入れ割合 |
---|---|
金融 | 24.10 % |
不動産 | 18.17 % |
エネルギー | 14.31 % |
公益事業 | 12.92 % |
情報技術 | 6.50 % |
通信サービス | 6.44 % |
生活必需品 | 5.16 % |
素材 | 5.00 % |
一般消費財 | 4.09 % |
ヘルスケア | 3.30 % |
- 不動産の比率が高い(VYMは不動産組み入れ無し)
- 生活必需品、ヘルスケア等、不況に強いセクターは少なめ(VYMは多め)

配当は高いけど、安定感が低いんだね。
どんな人に向いているのかな?
SPYDはこんな方におすすめ

これまで紹介した情報から、SPYDをおすすめ出来るのはこんな方だと考えられます。
- キャピタルゲイン(株価の値上がり益)よりもインカムゲイン(配当収入)を重視
- 個別株を分析、管理するのは面倒
- 暴落時の株価の低迷、減配は我慢できる
- すぐに高い配当を受け取りたい
ETFは個別株に比べると、やることは少ないです。
相場に応じて勝手に銘柄の組み替えもしてくれるので、個別銘柄の分析や決算のチェック等も不要だからです。
それを楽だと考えるか、面白みがないと考えるかで、個別株かETFどちらにした方が良いかが分かれると思います。
またSPYDは、コロナショックで長く低迷した株価、また大きく減配したことが安定感の無さを象徴してしまいました。
しかしやはり高い配当利回りは魅力ですし、時間はかかりましたが現在は株価も最高値を更新し増配もしています。
暴落時も我慢が出来る、むしろ暴落時こそしっかり買い向かうことが出来て、高い配当金を受け取りたい方が、SPYDの購入をおすすめ出来るのでは、と思います。
まとめ

本記事では、
- SPYDの特徴(株価、配当、増配率、S&P500との比較、構成銘柄/セクター)
- SPYDはこんな方におすすめ
について解説しました。
- SPYDの特徴:安定感は低いけど、やはり高い配当が魅力。時間はかかったけど現在はしっかり株価、配当共に回復
- SPYDはこんな方におすすめ:暴落時こそしっかり買い向かうことが出来て、高い配当金を受け取りたい方
SPYDはコロナショック時にかなり批判されていましたね。
しかし現在はしっかり株価、配当共に回復し、また注目度が上がっているように感じます。
しかしやはり暴落時こそしっかり買い迎えることが、SPYDには必要なことだと考えています。
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